
メキシコ進出法務ファイルⅢ:メキシコにおける贈賄防止対策
(メキシコ進出法務ファイルでは、メキシコ進出における法的留意点をコラム形式で解説します。) メキシコでは、腐敗に関する様々な課題が認識されている。Transparency Internationalが発表している腐敗認識指数(Corruption Perception Index)に関し、2015年調査結果によれば、メキシコは35点(調査対象国168か国中95位)であり、他の新興国などと比較しても点が低い。特に、2014年に発生した43名の学生失踪事件は,メキシコの地方政府レベルの深刻な腐敗を浮き彫りにした[1]。また、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた、ウォルマート現地法人によるテオティワカン遺跡付近での店舗開設にあたっての贈賄問題は,賄賂の横行の状況を明らかにした。テオティワカン遺跡付近などの新店舗開設の妨げになっていたとみられる区画整理に関する法律や環境法・文化財保護法上の認可を得るため,地元当局者に贈賄が行ったことが報じられたものである。 メキシコの贈賄規制は,従来,贈賄行為を行った個人を処罰するのみで,法人に対する処罰を限定的にしか認めて