メキシコ進出法務ファイルⅤ:メキシコ競争法の動向

 

 メキシコでは、2013年の憲法改正により、連邦経済競争委員会(COFECE: Comisión Federal de Competencia Económica)が独立性の高い競争当局として設立されると共に、2014年には、連邦経済競争法(Ley Federal de Competencia Económica)が新たな競争法として施

行されている(以下「新競争法」)。

 新競争法は、旧法と比較して、競争当局の独立性を高めたことに加えて、競争当局内の捜査部門と審査部門間の独立性の担保、不可欠施設の概念の導入、マージンスクイーズ規制の明文化、同業他社との情報交換に関する規制の強化、ノンアクションレター制度の導入、事前相談が必要な企業結合の範囲の拡大などが図られている。

 メキシコの新競争法の下でも、カルテル・独占化行為・企業結合などが規制されている点は、日本の独占禁止法と同様である。違反の場合には行政罰として制裁金が科され、特に悪質な場合には刑事罰が科される。行政罰の執行に関しては、競争当局が独立して捜査・審理を行う権限を有している。また、企業結合にあたって競争当局への事前相談が必要である点も日本と同様である。

 一方、新競争法においては、日本法とは異なり、カルテル等の競争制限行為を目的とした又はその結果を生じさせる情報交換それ自体が、市場への影響の大きさにかかわらず、絶対的な競争制限行為として禁止されている。そのため、日本企業は、同業他社との間の接触・情報交換に関するルールを整備することが特に必要である。企業の買収を検討するにあたっても、情報交換の内容や競争当局への事前相談のタイミングに留意する必要がある。

 また、カルテルのリニエンシー制度も存在するが、日本法とは異なり、最初の申請者のみがその対象となり、名目上の制裁金(最低賃金1日分である約500円)のみが科される。

 メキシコ新競争法は施行されて間もないものの、その執行は活発化している。2016年8月には、連邦経済競争委員会は、三菱重工業とデンソーに対し、それぞれ3600万ペソ(約2億円)の制裁金を科した。ゼネラル・モーターズ(GM)が実施した自動車用エアコンのコンプレッサーの部品購入の入札において、両社が共謀して価格を操作したことが競争法の違反事実として認定された。このようなメキシコでの競争法の執行を回避するため、日本企業は、コンプライアンス体制を強化する必要がある。

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February 24, 2020

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